ジャムやケーキ、ジュースなど子供から大人まで人気のイチゴ。
日本国内では越冬が可能、手軽に育てられる果物として家庭菜園で人気があります。
でもいざ収穫してみると「甘くない」「実が小さい」「かたい」などの上手くいかないことも。
そこで今回は、美味しいイチゴを収穫するための育て方を6つのポイントに分けてご紹介します。
1 イチゴの種類と苗の購入
家庭菜園で育てるなら、ホームセンターなどで販売されている苗を購入するのが一般的。
ここで一度、イチゴの種類について確認しておきましょう。
・一季成り品種
1年の中で収穫時期が1回(春から初夏)のイチゴを「一季成り品種」といいます。
代表的な品種は、女峰・とちおとめ・紅ほっぺ・とよのか・章姫など。
よく耳にするイチゴの品種の多くが一季成り品種で、家庭菜園でも育てやすいとされています。
・四季成り品種
収穫が春と秋の2回できるイチゴを「四季成り品種」といいます。
代表的な品種は、桃娘・夏姫・ルビーアン・天使のイチゴなど。
以前は一季成りイチゴよりも収穫量やランナーが少ない、味が劣る、実が小さいとされていましたが、品種改良によって一季成りイチゴに劣らず美味しい品種が誕生しています。
店頭で苗を選択するときのポイントは以下の通りです。
・葉に色艶がある
・株や根がしっかりしている
・クラウン(葉柄の付け根)が大きい
・病害虫が発生していない
苗は晩秋(10月中旬~11月上旬)に出回りますが、春先に花の咲いた苗を購入してもよいでしょう。
2 イチゴのプランターへの植え付け
苗が用意できたら、早速植え付けていきましょう。
苗(花の咲いていない)の植え付け適期は10~11月頃。
イチゴが好むのは肥料持ちと水はけの良い土ですが、プランターで育てるなら野菜用培養土を利用すると手間がかからず便利です。
苗は約60センチのプランターで1~2株、鉢栽培をするなら7号サイズで1株が目安。苗をプランターに植え付けるときのポイントは以下の通りです。
・ウォーターベースを残すようにして土を入れる
・イチゴのクラウンが少し見える状態になるように植える
なおイチゴ栽培は日光に当てることが大切なので、午前中に日がしっかりと当たる場所に置きましょう。
ただし、夏場の直射日光やエアコンの風が直接当たる場所は厳禁。
移動させて、株や葉が弱らないように注意してください。
3 イチゴの水やりと追肥
イチゴに追肥をしました。玉ねぎも順調です。収穫が楽しみです。 pic.twitter.com/PDgPA0GK2f
— 西井デイケア ガーデニング (@nishii_garden) March 30, 2018
晩秋に植え付けたイチゴは冬になると休眠します。
「水やりは必要ないのでは?」と思われがちですが、春が近づくにつれて成長するので適宜水やりが必要です。
また春以降の成長期は毎日土の表面を観察し、乾いているようであればプランターの底から水が溢れ出るくらいにしっかりと水分を与えましょう。
ポイントは株元に優しく水をかけること。
高い位置から水やりをすると土が跳ね返って病害虫を引き起こすことがあるので、注意が必要です。
野菜用培養土を利用した場合は、土に元肥が含まれているので植え付けからしばらくの間は追肥をする必要がありません。
元肥の効き目が切れる目安は約1ヶ月ですが冬場のイチゴは休眠しているので、成長を始める2~3月ころと花が咲き始めるころの2回、液体肥料、固形肥料など使いやすいもので追肥してあげましょう。
4 イチゴの人工受粉
イチゴに追肥をしました。玉ねぎも順調です。収穫が楽しみです。 pic.twitter.com/PDgPA0GK2f
— 西井デイケア ガーデニング (@nishii_garden) March 30, 2018
3月中旬ごろになるとイチゴは白くて小さな花を咲かせます。
地植え栽培であれば風や昆虫などが花粉を運んでくれることがありますが、特にベランダ栽培では自然受粉が期待できないので人工受粉をした方が確実です。
人工受粉のポイントは次の通りです。
・時間帯は花粉が出やすい午前中におこなう
・柔らかい筆や綿棒を使う
・花の中心にあるのが雌しべ、雌しべを囲んでいるのが雄しべ
・筆などで花粉をとり雌しべにつけるときは、丁寧にまんべんなく当てる
5 イチゴのランナー処理
人工受粉が終了したら収穫といきたいところですが、その前にランナー(株元から出ている細い茎)をチェックしておきましょう。
というのは、ランナーの数が多いと栄養分が実に行き渡らずに収穫量が減る原因になるからです。
伸びたままになっているランナーはハサミを使って株元近くでカットしておきましょう。
元気な苗であれば収穫後にもランナーは伸びてきます。
ランナーには親株(元になる株)から発生する、子株・孫株・曾孫株・玄孫株がありますが、孫株と曾孫株の本葉が3~4枚になったら切り落とし株ごとポットに植え付けて増やしていきましょう。
移植は植え付けと同様に10~11月ころにおこなってください。
6 イチゴの収穫とその後
一季成りイチゴの収穫時期は5~6月ころ。
人工受粉をおこなってから約1ヶ月経過すると実が熟してきます。
赤く変化した実が食べごろになったらヘタの少し上からカットしていただきましょう。
熟した実をそのままにしておくと腐り、病害虫を引き起こす原因になるので注意してください。
イチゴは多年草なので、同じ場所で翌年も栽培や収穫を楽しむことができます。
収穫後は放置したままにせずに、水やり・追肥・日光の当たり具合の観察をしながら夏越しさせてあげましょう。
イチゴは年数が経過するにつれて収穫量が少しずつ減少していきます。
でも今回ご紹介したようなランナーを活用して株を増やしていけば、長年に渡って栽培を楽しめる果物です。
イチゴ栽培で難しい管理はありませんので、家庭菜園でまだ挑戦していない方はイチゴ栽培を試してみてはいかがでしょうか。