秋の味覚の代表選手とも言えるクリ。
日本においては、縄文時代のものとされるクリの実が青森県の三内丸山遺跡から出土されるほど、クリは太古から日本人に馴染みの深い果樹です。
クリの木といえば大木を想像する方も多いかと思いますが、鉢植え栽培でも楽しめるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、クリの育て方のポイントを7つに絞り、鉢植えでの栽培方法を交えながらご紹介します。
●クリの好む環境と一年の流れ
クリが好む環境は、保湿性と排水性に富んだ土壌、風通しがよく、日光が当たる場所です。
クリは樹勢が強く、痩せた土地でも成長できるので、粘土質や砂土などでない限り、土質に関してそれほど気にする必要はないでしょう。
クリは落葉性なので、一年を通してさまざまな変化が見られる樹木です。
春になると新葉が芽吹き始め、5月から6月にかけて開花時期を迎えます。
9月から11月にかけては実の収穫ができるようになり、その後冬が近づくとともに落葉します。
●クリの植え付け
クリにはたくさんの品種があります。
国内で栽培されているクリは、多くがニホングリで、チュウゴクグリやヨーロッパグリなどの外国種は育てるのが難しいため、ほとんど栽培されていません。
クリの品種は国内で栽培されているだけでも40種類以上。
利平・筑波・銀寄・ぽろたんなど、それぞれが粒の大きさ、甘さ、粘質などに異なる特徴を持っています。
クリの植え付け適期は11月から12月の落葉後の時期。
この時期を逃した場合は厳寒期が過ぎた3月に行なうと良いでしょう。
クリ栽培の植え付け時の注意ポイントは、実の収穫を確実にするなら、異なる品種を複数植えること。
うまくいけば1本でも受粉しますが、自家不和合性の性質が強いクリは1本だけ植えても実が成りづらいので注意してください。
苗を購入後、地植えの場合の手順は以下のとおりです。
1 植え穴は最大で深さ90センチ、直径1メートル
2 元肥や有機物を入れる
3 苗を植えたら、高さ40から50センチを残して切断し水やりをする
つづいて、鉢植え栽培での植え付け方法を見ていきましょう。
1 8号サイズの植木鉢を用意し、鉢底石を敷く
2 鉢の高さ半分くらいまで土を入れる
3 根を広げながらクリの苗を入れる
4 支柱をそえ、枝の先端を切断、十分に水を与える
●クリの植え付け後の作業と水やり
2020年6月5日
— 中川農園 (@SMF3wqmtqNQyWts) June 5, 2020
栗の苗に落ち葉を敷いて、水やりをしました。暑い、ぶっ倒れそうです。 pic.twitter.com/5Rki9LfPjQ
植え付け後のクリは、3、4週間経過したころに根が付き、成長をはじめます。
全ての穂木の芽の中から、生育のよいものだけを4~5本だけ選別し、残りはかきとっておきましょう。
地植えしたクリの水やりは、植え付け直後でない限り、よほど乾燥が続かなければ特別必要ありません。
鉢に植えたクリの場合は、土の表面が白っぽくなったら、鉢穴から水が出るくらいに十分に与えましょう。
また鉢植えの場合は、成長にともなって定期的な植え替えが必要です。
一般的な植え替えの頻度は2年に1回。
苗が窮屈そうに見える、鉢穴から根が出ているなど様子が見られたら、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
●クリの肥料やり
凄惨な光景でなく、栗畑の肥料やりです…。 pic.twitter.com/3aqTJw4rKS
— 滑川道広 (@michironame) March 4, 2021
地植え、鉢植えに関わらず、即効性化成肥料または有機質肥料を与えます。
地植えは2月・5月・10月、鉢植えなら2月・10月に適量を施しましょう。
●クリの仕立てと剪定
クリは地植え、鉢植えともに「変則主幹形仕立て」が良いとされています。
これは側枝を伸ばしながら、主幹を定期的に切り戻して形をつくる方法です。
主幹を切り戻すことにより、大木になりがちなクリの木に日光が当たりやすくなると同時に、管理がしやすくなるメリットもうまれます。
剪定は収穫が終わった冬の時期がおすすめ。
下向きに伸びている枝や枯れた枝などの不要なものは取り除き、コンパクトな形を維持できるように剪定していきましょう。
剪定後、残った枝は先端5分の1程を切り詰め、太い枝を切断したなら菌が入らないように癒合促進剤を塗布してください。
●クリの収穫
夏ごろ出てきた緑のイガが秋になると茶色に変化します。
収穫は実が熟し、イガが裂けて地上に落ちたものを拾いましょう。
1つのイガには、1~3個の実が入ってますので、収穫後は風通しのよい場所で保存してください。
●クリがかかりやすい病害虫
クリは害虫の発生が比較的多いので注意が必要です。
発声しやすい害虫には、カミキリムシ・クリミガ・クリオオアブラムシ・モモノゴマダラノメイガなどがあります。
害虫によって対処法は異なり、薬剤の散布、捕殺などの方法がありますので、見つけ次第早めの対応が必要です。
病気は菌が原因で、若い木に発生しやすい胴枯病が見られます。
胴枯病を避けるには、密植しない、菌の繁殖原因となる剪定枝や古い枝を近くに放置しないなどが重要です。
病気が発生したら、発生場所は切断または削るなどで処理し、切り口に広がりの予防として保護剤をぬっておきましょう。
●まとめ
大木になりやすいクリをうまく育てるには、剪定作業と病害虫の発生を抑えることが重要なポイントです。
クリの木の寿命は長いと100年にも及びますので、美味しいクリが収穫できるように、若いうちからしっかりと管理して育てましょう。