イングリッシュガーデン・ロックガーデン・ドライガーデンのように、ガーデン様式にはさまざまな種類があります。
その中の1つ「リゾートガーデン」は、南国のリゾート地を思い出させるオリエンタルな雰囲気が特徴。
リゾートガーデンには、アウトドアリビングの存在やエクステリアの素材と同様に「どの植栽を植えるか」ということも大切です。
今回は、リゾートガーデンに最適な樹木5つをご紹介したいと思います。
ソテツ
太い幹と大きく広がった葉が印象的な「ソテツ」は、南国庭園にピッタリの雰囲気を醸し出す常緑低木。
自生しているのは九州南端・オーストラリア・アフリカ・中国大陸南部など。
成長速度はおだやかですが、大きくなると8メートル程の高さまで伸びるので、ガーデニングにおいて抜群の存在感を発揮するでしょう。
「痩せた土地でも育つ」「一度生長すると簡単に枯れない」「お手入れが少ないなどの理由で管理しやすい」ことがメリット。
乾燥気味の土地を好むので、日当たり・風通し・水はけの良い場所に植えましょう。
耐寒温度は約5℃。寒い環境では枯れることがあるので、冬が来る前に葉は束ねて幹と一緒に藁などを巻く防寒対策が必要です。
植え付けをして土に根付くまでは十分な水分を必要としますが、その後は降雨だけで育ちます。
定期的な剪定は必要とせず、枯れて黄色くなった葉や古い葉は付け根から切っておく程度に留めます。
ソテツは雌雄異株の樹木です。
10~15年に1度の貴重な花を咲かせるので雌と雄を植えると実も見られるかもしれません。
ココスヤシ
ココナッツがなる木として有名な「ココヤシ」。
同じヤシの木の仲間である「ココスヤシ」はココヤシよりも耐寒性に優れ、日本でも育てることが可能なヤシの木です。
原産国は南米。
ヤシの木仲間の中では小さい部類に属しますが、大きくなると約5~10メートルまでに生長します。
夏になると赤紫色の花を咲かせ、その後2㎝位の小さな実をつけます。
実はココナッツのように固い殻に覆われることはなく、食べることも可能ですが、種が大部分を占め、実の部分は少量です。
耐陰性に優れた特徴がありますが、日光に当てないと幹と葉のバランスが崩れることがあるので、可能であれば「程良く日が当たる日陰」のような場所に植えるとよいでしょう。
耐寒温度は-7度。地植えで北海道や東北地方での冬越しは難しいかもしれません。
しかし、その他の地域であれば多少の積雪にも耐えることが可能です。
ソテツと同様に、ココスヤシを複数本庭に植えると、南国ムード満点になること間違いありませんね。
ドラセナ
別名「幸福の木」とも言われるドラセナは、アフリカやアジアの熱帯地方に多く自生する常緑樹。
観葉植物として病院や公共施設などで見かけることの多い木ですが、暖かい地域であれば地植えで育てることができます。
ドラセナは数十種類以上ある品種により多少の違いはありますが、基本的に寒さに弱い樹木です。
雪が降ったり、霜が降りたりするような地域、または冬場の気温が10℃以下になる地域での地植え栽培は避けた方がよいでしょう。
日本国内でこれらの条件に当てはまる場所はかなり限られた場所のみ。
そのため、夏は地植えで冬は鉢に移し替えたり、最初から鉢やコンテナで育てて夏場外に出すなどしたりしておけば、多くの地域でドラセナを楽しむことができますよ。
置き場所は直射日光の当たらない場所を選ぶことがポイント。
強い光に当てると「葉焼け」を起こすので、明るい日陰に植えましょう。
また、湿気を嫌うので水はけの良い場所選びも重要です。
ドラセナの品種の中でも「アオドラセナ」や「ドラセナ・ドラコ」が地植えに適しています。
コルジリネ
放射線状に長く伸びる細い葉が特徴の「コルジリネ」は、オセアニア地方や東南アジアにかけて自生する熱帯性常緑樹木。
ドラセナと形が似ているので間違われることがありますが、全く別の植物です。コルジリネは赤い葉が印象的ですが、品種によって緑・黄色・斑入りのものなどさまざまな種類があり、その姿は庭のエキゾチックな雰囲気を盛り立てます。
国内の暖かい地域であれば地植えでの冬越しも可能。
ただし、品種によって耐寒性が異なるので植える前にチェックしておくことが大切です。
植える場所は直射日光の当たらない明るいところを選びましょう。
また、植え付けの時は小さかったコルジリネも生長するにしたがって真上に伸びていきますので、スペースの確保には気を配っておきましょう。
コルジリネは水やりの必要もなく(地植えの場合)、初心者でも育てやすい植物です。
シンボルツリーとして活用するのもオススメです。
カンスゲ
カンスゲは日本を原産とする常緑宿根草。
耐寒性と耐暑性に優れ、日光の当たり具体もそれほど生長に影響を及ぼしません。また、草勢が強いためほとんど管理の手間を必要としません。
「リゾートの雰囲気とは少し合わないのでは?」と思われるかもしれませんが、カンスゲは寒い時期にも緑を保つグランドカバーとしてお庭に活力を与えます。大きく育っても約40㎝位。
生長するにつれて群衆するので、株が混み合ってきたら「株分け」をしてあげましょう。
カンスゲは庭のアクセントとしても使えますし、寄せ植えの材料としても使いやすい素材です。
基本的に水やりの必要もなく、肥料もほぼ必要としません。
先祖返りしたもの以外は黄色や白の班入りのものがほとんどです。
緑葉は性質が強い特徴があるので、出てきたらすぐに株分けをして、班入りのカンスゲが緑葉に入れ替わってしまわないように注意してくださいね。
少し難易度が高いと思われがちのリゾートガーデン風の庭造りですが、少しずつ見合う植栽を増やして雰囲気作りを高めていきましょう。
基本的には南国育ちの植物が多いので、日本の寒さには注意が必要です。
耐寒性の弱いものは鉢植えで育てるなどの工夫をすることで問題をクリアしていきましょう。