「部屋に飾った切り花を少しでも長く持たせたい」「花の美しさを少しでも持続させたい」
となった時に施しておきたい水あげ。
切り花を花瓶に入れるとき、アレンジメントするときなど、ひと手間かけることで花の生命力が随分と変わってきますよ。
今回は、代表的な水あげ方法5つをご紹介します。
水折り
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水折りは数ある水あげの中で最も代表的な方法です。
どのような花材を扱う場合でも、基本的には最初に水折りを行いましょう。
水折りで用意するのは、両手を入れることができる大きさのある容器です。
ボウル、洗面器、バケツなどがよいでしょう。
清潔な環境で行うことが大事ですので、容器は綺麗なものを使ってください。
また洗面台を直接利用するときも同様です。
・容器の中に水を張り、花材を浸して水中で茎を折る
・折る場所は根元から少なくとも5センチ以上
・両手の親指の爪を茎に当てて、一気に向こう側折る
・折り切れなかった時は、茎をねじり切る
・切断した後の花材はすぐに他の水の張った容器に移す
茎を切断することができたら、少なくとも2秒以上はそのまま水に浸しておきましょう。
茎の断面は切断された瞬間に触れているものを吸う性質があります。
すぐに空気中に断面を触れさせないのは、このような理由があるからです。
茎を折ったときに、断面がボサボサになり、ささくれが出来ていれば成功です。
ちょっと見た目は悪いかもしれませんが、ささくれができることで水を吸い上げる表面積が広がり、花材にとっては良い結果となります。
水切り
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水切りは水折りと同様に花材の茎を水中で切断する水あげ方法です。
水折りとの違いは切断時にハサミを使用すること。
両親指の爪で切ることができないような細い茎、太い茎、しなりすぎている茎などに有効です。
水切りに適した花材は、コスモス、アネモネ、パンジー、ポピー、チューリップなど。
水折りに挑戦して上手にできなかった場合は、水切りをしてみましょう。
大きめの容器に水を張り、中に花材を入れたまま茎をハサミで切断します。
このとき注意することは、断面を広くするため、できる限り斜めに切断すること。
水を吸い上げる表面積を広くすることで、吸い上げる水の量を増やすのが狙いです。
また、使用するハサミは清潔で切れ味の良いものを使いましょう。
汚れたハサミを使用することで、バクテリアが花材を痛めることも。
また、切れ味の悪いハサミは切断時に茎を押しつぶしてしまうこともあります。
使用したハサミはアルコールなどを利用して、必ず汚れを落としておきましょう。
湯上げ
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湯上げは物理的な方法を利用した水あげです。
熱いお湯に茎を浸し、中にある空気の泡を外に出して真空状態を作ります。
次に冷たい水に浸して花材を冷やすことで生じる圧力を利用して水を吸わせる方法です。
適する花材はシャクヤク、ひまわり、バラ、オミナエシなど。
どのような花材にもある程度の効果を発揮しますが、特に野花系統の植物が適しています。
・新聞紙で束にした花材を包む
・60度以上のお湯に根元を浸す(一呼吸おくくらいの時間)
・すぐに冷水の入っている容器に1時間以上浸す
花材を新聞紙で包む理由は、根元以外の花や葉などに湯気が当たらないようにするためです。
包む時は茎や葉の間に隙間ができないようにすることが重要ですので、あらかじめ不要な下葉は処理しておきましょう。
熱湯に浸す茎の長さは3~4㎝。
花材の種類にもよりますが、一呼吸をおくくらいの時間浸すことが基本で、
根元の色が熱で変化したら引き上げのサインと考えてよいでしょう。
冷水に浸した後は新聞紙を外し、花材が水を吸い上げていることが確認できたら成功です。
燃焼法
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燃焼法は湯上げと同様の物理的効果を利用した水あげ方法。
熱いお湯ではなくバーナーなどの強い熱を利用することから、その効果は湯上げよりも高いとされています。
また、焼かれた根元は活性炭フィルターに似た効果を発揮するので、
浸した水を浄化する役割を持ち、花材にとって好都合となります。
湯上げできる花材のほとんどに燃焼法は通用しますが、
特に適しているのは茎の表面がかたく水気をあまり含まないシャクヤクやバラなど。
反対に茎の内部の水気が多く太いものは、燃えるのに時間がかかるため適していません。
燃焼法は湯上げの時と同じく、根元以外に熱が伝わらないようにするため、花材の束を新聞紙でくるみましょう。
根元をハサミでまっすぐ切断し、バーナーを利用して根元1~5㎝の範囲を炭の状態になるまで焼ききってください。
根元を焼く時は花を下向きにして、熱は側面からあてるようにしましょう。
燃焼が終わったら用意しておいた冷水に1時間から半日冷水に浸しますが、茎の半分以上を水に浸しておくことがポイントです。
逆さ水
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逆さ水が適しているのは、アイビー、スプレーマム、ハーブ、コスモスなどのキク科、
またはハーブ類のような葉の数が多くて蒸れやすい花材です。
葉の裏側に霧吹きで水をかけることにで、根から吸い上げた水の蒸発を防ぐことを目的として利用されている水あげ方法です。
逆さ水は深さのある水に花材を浸す水あげ方法の「深水」ができない時に利用するとよいでしょう。
花材を束にして下に向け、葉の裏から霧吹きで水を与えましょう。
葉の表面に水をかけないのは、繊細な葉が水の重さによって下に向かないようにするため。
水を吹きかけるときは、花に水がかかってダメージを与えないように注意してください。
充分に水を与えたら花材を持っている腕全体を使いながら、水気を切り根元を残して全体を新聞して包みましょう。
根元は水切りを施して水揚げをし、ある程度の深さのある容器に移しましょう。
1時間経過したら再び別の深い容器の中で茎を1~3㎝切り戻し、状態を見ながら3時間から一晩水につけておきましょう。
まとめ
部屋に飾る花はなるべく長く、きれいな状態でいてほしいですよね。
水は花にとっての命です。
水あげ方法は花の種類によって異なりますので、注意してくださいね。