「好みの植物を植えたけれど、庭の雰囲気とマッチしない」
「統一感のある庭造りができない……」
このようなお悩みはないでしょうか?
統制のとれた庭造りをするなら、ガーデン様式を念頭において、どのような雰囲気の庭にするかを考えることが大切
です。
そこで今回は、ガーデニングの基本となる5つのガーデン様式の概要と、それぞれの様式をつくる上でのコツなどをご紹介したいと思います。
●イングリッシュガーデン
ガーデン様式の中で最も有名、人気が高いのがイングリッシュガーデンではないでしょうか。
イングリッシュガーデンとは、自然のありのままの姿を再現したガーデン様式。
18世紀ごろイギリスにてそのスタイルは確立されたと言われていますが、それ以前に流行した左右対称の幾何学的なデザインが基本となるイタリア式やフランス式とは異なり、まさに自然な植物の姿を楽しむために作られた様式です。
とはいえ、好みの植物を無作為に配置するだけではイングリッシュガーデンは成り立ちません。
主流のイングリッシュガーデンを作るには、庭の入り口は背の低い植物、奥に進むにつれて背の高い植物を植える
「ボーダーガーデン」を意識して、空間に広がりをもたせることが大切です。
樹木は刈り込まず、植物は咲く時期を意識して長い期間花が楽しめるように不規則に配置、それぞれの花の色もバランスを考えながら植えましょう。
また植物以外のチェアや棚は木製などの自然素材を活用、小道を作るなら木材や石材を利用して人工物は極力避けるよう意識しましょう。
●ナチュラルガーデン
自然美を楽しむという意味では、イングリッシュガーデンと同じように思われるナチュラルガーデンですが、特徴はなるべく殺虫剤や農薬を使わずに、人や環境に優しい庭造りをしながら、手をかけすぎず心地よい空間を仕上げる点にあります。
おもだった決まりはありませんが、花選びでは奇抜な色や特徴のある形の植物を選ばないのがポイント。
また遠くからでも目を引くような大きさのある植物は避け、あまり手間のかからない宿根草や雑木を植えるのがおすすめです。
植物の分け方や小道づくりでは直線は避け、自然な曲線を描くように作るのも大切。
エクステリアは基本的には自然素材を使用し、ブリキのジョウロや鉢、ビンテージ感のある収納棚などを置けば、さらにナチュラルガーデンの雰囲気がアップするでしょう。
●ロックカーデン
ロックガーデンとは岩石や砂などを敷き詰めたり、積み立てたりして、岩や石の合間に多肉植物や高山植物、山草類などを配置する野性味溢れるガーデン様式をいいます。
使用する岩は、保水性と通気性に優れた溶岩石がおすすめです。
というのは、一般的な岩や石では水がすぐにはけてしまうため、植えた植物がうまく育たなくなってしまうからです。
また多肉植物のような乾燥気味に育てる植物なら砂を主流に、水分が必要な植物ならピートモスや腐葉土を混ぜ込んで環境を整えてあげるとよいでしょう。
ロックガーデンの魅力は、狭い場所でも岩や石の高低差を使って奥行きを演出できる点にあります。
庭のスペースが限られているけれど、雰囲気ある庭造りをしたい方にも気軽に取り入れやすいガーデン様式といえるでしょう。
●ドライガーデン
乾燥を好む植物ばかりを植え、その風情を楽しむドライガーデン。
異国の雰囲気を味わえると同時に、頻繁な水やりや肥料やりが必要ないのでガーデニングに手間をかけないで済むメリットがあります。
作り方のコツは、通気性と排水性の高い土を必ず選択すること。
植物はサボテンなどの多肉植物、ユッカやソテツ、ヤシなどの南国を思わせる雰囲気のある植物が多く使われます。
ただしこれらの中には、耐寒性の低い植物が存在しますので、冬の時期にお住まいの地域で植物が気温の低さに耐えられるかどうか考えたうえでの選択が重要になるでしょう。
また降雪が予想されるとき、梅雨の時期などはシェードやマルチングで植物を守る配慮も忘れずにおこなってください。
●ウォーターガーデン
ウォーターガーデンは庭の中に、噴水・滝・池などを作り、水辺にある植物や水中にある植物を植えて楽しむガーデンスタイルです。
水に流れや動きがあれば、癒やしや躍動感のある空間ができあがります。
また水にライトを照らすと昼だけでなく、夜の時間帯も雰囲気ある庭の景色が楽しめます。
ウォーターガーデンは、和風洋風モダンなどのテイストに関わらず、どんなタイプの庭にもマッチするのがメリット。
デメリットは水の存在で発生する蚊ですが、メダカを飼えば食べてくれるので、工夫をこらすことにより、快適で常に水を感じられる庭造りができるでしょう。
●さいごに
雰囲気のある庭造りをするなら、完璧とまではいかなくとも、どのようなガーデン様式にするか考えておくのも一つの方法です。
また家の外観とのバランスや、時間の経過による風化した景色を想像してデザインするのも重要といえるでしょう。
まずは自分の好きな様式を選択して、それにマッチする植物選びからはじめてみてはいかがでしょうか。